天然素材で、愛着の湧くものづくりを
友人のデザイナーが立ち上げた「日本スギダラケ倶楽部」というユニークな集団があります。この活動に関わるうちに国産材の有効活用など社会性のあるデザインの活動に強く興味を持つようになりました。会社の仕事以外にも、社外の面白い人たちとの交流を広げる中で、3×3Laboと出会うことができました。こうした社会的な活動ができる共有スペースがあることは、本当に嬉しい!ですね。幅広い世代の人たちが集まっているので、私のようなシニアでも浮かないですし(笑)。
- Q1
- 天然素材デザイナーとしてどのような活動をしているのですか?
- A1
- これまで32年、大手企業でプラスチックや金属の大量生産される製品を作ってきましたが、だんだんとユーザーにより愛着を持って使われる多品種少量生産の製品への要望が強くなっています。企業としてはまだ大量生産する製品をより効率的に作ることに力を入れていますが、個人的には木材などの天然素材を使った、ユーザーにもっと愛着を持って使われる製品を作りたいと考えていました。そうした矢先、結核を患って2ヶ月の入院生活を送ることになってしまいました。その時に「横になったまま、スマートフォンなどで電子書籍や動画を心地良く楽しめるようにしたい」と考え、ダンボールで試作を作るなどの入院生活を送っていました。完治して退院後、木工のまち栃木県鹿沼の「日本スギダラケ倶楽部」の仲間、栃木ダボさんの協力を得て、癒し効果の高いヒノキ材を使った「木こちい(ここちい)」をデザインし、クラウドファンディングで公開できました。今年2月15日には京都大学大学院主宰の講演会で、こうしたこれまで体験をもとにして、これからのデザインの考え方を発表させていただきました。
- Q2
- 大丸有(大手町・丸の内・有楽町)で好きな場所は?
- A2
- 丸の内界隈ですかね、やっぱり。新丸ビルの中とか、歩いているだけでも楽しいです。景観が新しいというよりは、昔みんながいいなと感じていた町に留まろうとしている。そういう動きがいいなと思います。落ち着きを持って、町を楽しめる雰囲気は、他にはないですよね。
- Q3
- 大丸有を1日好きにしてよければ何をしたい?
- A3
- 全部地下でつながっているので、ひとつの大きなビルみたいなものですよね。それを全部使って、"デザイン祭"みたいなことができたらいいなと思います。展示会、セミナー、講習イベント...、パーティーできる場所もたくさんありますし!(笑)
- Q4
- オススメの本を一冊お願いします。
- A4
- 最近読んで面白かったのは、アウトドア界のカリスマ社長・山井太さんの『スノーピーク 「好きなことだけ!」を仕事にする経営』(日経トップリーダー編)。本社のある新潟県・燕三条の業者さんをメインにものづくりを行うなど、ユニークな経営のあり方が垣間見えるので、3×3Labo的にすごく合う内容かも!です。
- Q5
- あなたが大切にしているコト・モノは?
- A5
- 新しいことをやりたいと思っている人が好きですね。そういう人との付き合いも大事にしています。
吉田道生(よしだ・みちお)
天然素材デザイナー
日本大学芸術学部卒業後、株式会社キヤノンに勤務。17年間、カメラやプリンターなどのデザインを手掛ける。2000年、デザイン戦略に興味を持ち、サムスン電子に転職し、デザインチームを運営。2015年、同社を早期退職し、フリーランス・デザイナーとして独立。「今までになかった商品を開発して、ユーザーに新しいライフスタイルを提案したい」という想いから、天然素材を使った製品開発に取り組んでいる。