食べると暮らすを考える
今は、地球大学のEating Design Committee(EDM)の有志のメンバーが集まった通称「Annex(アネックス)」で、食べることと暮らすことを考える活動をしています。いろいろな企業の、さまざまなお立場の方々とご一緒していますが、浮かび上がってくる課題、たどり着くキーワードが同じ方向なのが面白いです。Annexで得たものをそれぞれの会社に持ち帰って、何かの形にして世の中に出せたら素敵ですよね。私もがんばります。
- Q1
- 「飲料技術研究」は「商品開発」とはどう違うのでしょうか。
- A1
- 商品開発は、技術や材料の組み合わせを変えて行うような、比較的短期で、感性が重要なもの。技術開発は、数年後の社会を予測して、こんな飲料が必要になるだろうと考えてイチから取り組むものです。たとえばつい先日発表になった「やさしさ生茶 カフェインゼロ」は、私が入社した年に開発がスタート。4年かけてようやく上市されるものです。カフェインを摂取できない病気の方や妊婦さんはもちろんですが、普通の方にも、お休み前などにデカフェのお茶を飲むことで、セルフコントロールや健康への意識を持ってほしいと思って取り組んできました。
- Q2
- エコッツェリア、大丸有のすごいところは?
- A2
- 他のワークショップを通じてここを知り、2013年から地球大学に参加していますが、勉強会や講演会のメンバーにすごい人たちが集まっているところ。アンテナの感度が高く知識も豊富な人たちばかりで、ワークグループで話を聞くのも、自分が発信するのも楽しいです。直接本業のビジネスにつながる"仲間"です。そして、人が集まってそこから情報を発信する発信力もすごいと思います。
- Q3
- 大丸有を1日好きにできるとしたらどうしたい?
- A3
- 私は調理師、管理栄養士の資格も持っていまして、さまざまな地域の知られざる食材を調理して食べるイベントなどを開催していますが、日本の四季を感じさせ、パクッと食べられる簡単な料理を作って、街行く人々に配りたい、ハロウィンのお菓子みたいに。今日本ではいつでも何でも手に入りますが、本当は四季折々の食材が一番おいしいんです。それを意識してもらえたらなと思います。
- Q4
- おすすめの本を教えてください。
- A4
- 『ファッションフード、あります』(畑中三応子・紀伊国屋書店)。技術開発をする中で、飲料や食べ物にも流行がある、ファッションに近い要素があるなと感じていたときに出会った一冊。今私たちが食べているもののルーツを知ることもできます。本屋で見つけた瞬間に「これだ!」と即購入。
- Q5
- あなたが一番大切にしているものは何ですか?
- A5
- 食べ物を中心においた、人とのかかわりです。おいしいものに出会って食べるのも好き、人に食べてもらい、喜んでもらうのも好き。おいしいものを食べれば誰だってうれしい。さまざまな社会課題がありますが、そこから解決の糸口を見つけられたらと思います。
大島未貴子(おおしま・みきこ)
キリン株式会社 R&D本部飲料技術研究所
新潟県出身。高校は食物科、大学では栄養学部に学ぶ。調理師免許は高校時代に、管理栄養士免許は大学時代に取得。キリン入社時に、当時としては珍しい学部卒での技術研究職に。以来一貫して技術開発を行い、キリンビバレッジで扱うすべての液種の飲料の開発に携わった経験を持つ。主な開発商品に「キリン やさしさ生茶 カフェインゼロ」がある。
キリン株式会社