シリーズVOICE

【VOICE】八十島裕さん

Pacific Spatial Solutions

地図は一生の仕事

地図、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)の仕事をしていて、先ごろ3×3Laboと同じフロアにオフィスをお借りしました。地図はすごく面白いし役に立ちますよね。GISは防災や環境で幅広く使われていますし、商業的にもいろいろな業務で利用されています。エコッツェリア協会さんとは、大丸有の生物多様性のお仕事でご一緒しています。地図は"使ってなんぼ"でして、3×3Laboに集まっている人たちは面白い使い方を考えだしてくれるので、毎回お邪魔するのがとても楽しみです。今後は3×3Laboでの成果を展示、発表するようなことができるといいですね!

Q1
3×3Laboと同じフロアに引っ越したのはなぜ?
A1
エコッツェリア協会さんの大丸有を中心とした都市の生物多様性の取り組みに参加させていただくにあたり、やはりその街の町民にならなきゃいけないだろうと思って。私たちは少人数の会社なので寂しかったというのもありますし(笑)、その点、3×3Laboはいろいろな人がいて刺激を受けています。
Q2
地図ではどんなお仕事をされてきたのでしょうか。
A2
例えば、今使われている緊急地震速報システムのベースとなった、全国地震動予測地図があります。地盤、地形、地震動の伝達などさまざまな情報を250メートルメッシュで地図に載せて、色々なタイプの地震が起きた時に、どこがどれくらいの確率でどの程度揺れるのかを予測するものです。そのほかにも植物などの生物の分布を表す「生物多様性マップ」なども手掛けています。今は、街路樹による緑陰の分布を広域でマップ化し、まちづくりに役立てる取り組みなどもしています。
Q3
大丸有で好きな場所は?
A3
大手町ビルやこの日本ビルのように、コンクリートの壁が分厚い感じの重厚な建物が好きです。今の効率重視の建築ではありえないのでしょうけれど、こうした古くてかっこいい建物が消えていくのは、本当に寂しいです。まちづくりの観点からは、大丸有は個々の建物のスケールから都市計画のスケールまで、きちんと筋が通った感じがするところがすごいと思います。
Q4
大丸有を1日好きにして良い、と言われたら?
A4
1日じゃ足りない......(笑)。丸の内仲通りなどでは積極的に進められていますが、公道の部分、国道や都道の街路樹まわりをしっかりやりたい。都市の道路は車だけのものじゃない、50年後にも誇れる、生きものいっぱいの道路を作りたいですね。
Q5
あなたが大切にしているモノ、コトは?
A5
ものごとに誠実に向き合うことですね。何かをごまかしてしまったら、後々までそれに振り回されてしまうので。それと時間の使い方でしょうか。時間を無駄にしないこと。コツですか? 寝ないことですかね(笑)。
八十島裕(やそしま・ゆたか)
Pacific Spatial Solutions

環境科学分野から、GIS(地理情報システム)に取り組むようになる。防災科学技術研究所「全国地震動予測地図」の研究、環境省植生図事業にも参加している。愛・地球博では国交省「バイオラング」のエンジニアリングを担当した。現在はまちづくり、生物多様性、道路行政と緑化などの課題に取り組んでいる。スマホ向け地図ソフト「PDF Maps」の日本語化も担当。また、GISの講習会や地図作成の相談にも応じている。今後は、GISのクラウド化を強力に推進していくつもり。Pacific Spatial Soluitons, LLC日本支社所属。NPO法人地域自然情報ネットワーク理事。社団法人Conservation Lab理事。

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