音楽ではないものから創られる音楽
日本ビル3×3Labo「触れる地球ミュージアム」にBGMを提供したことから、週に2回くらいお邪魔するようになりました。ミュージアム、3×3Laboには、いろいろな人が来るので面白いですね。僕は音楽以外のものから音楽を作らなければ、音楽としての中身がないと思っていて、だからさまざまな分野の人と出会えることですごくインスピレーションを受けています。今は、アンビエントの形の中で、その枠組みを超えた音楽をどう生み出すのかを考えているところです。また、多くのビジネスマンとお話しすることで、ミュージシャンもまた、著作権の管理等、音楽のビジネス的側面を考えなければならないと思うようになりました。3×3Lab Futureがクリエイティブな空間になるような、新しい音空間のプロデュースができたら、なんてことも考えています。
- Q1
- 手がけている音楽について教えて下さい。
- A1
- エリック・サティが提唱した「家具としての音楽」というコンセプトをベースにしたアンビエントの一種で、そこにさまざまな要素を入れ、感覚で語るような音楽。そしてまた、普段隠されている人間の"本質"、人間本来のモノを音楽で表現したいと思っています。2014年、デビューアルバムとなる『Signs of Rain』をイタリアのStochastic Resonanceからリリース。今年(2016年)9月に、2枚目のアルバム『Side Effects』をリリースします。
- Q2
- 3×3Lab Futureに期待することは?
- A2
- "一般の人"でも入ってこれるような場所になってほしい。例えば、環境問題などの社会課題についてのシンポジウムで、何をどう感じても「一般人には何もできない」というもどかしさがあるように、世界にはどこか必ず"隔たり"がある。そんな隔たりのない場所になってほしいし、3×3Lab Futureにはなれる可能性があると感じています。
- Q3
- 大丸有で好きな場所は?
- A3
- マンハッタンみたいな高層ビルが立ち並ぶ丸の内。グワーッとした高さが好きですね。と同時に、有楽町のガード下の飲み屋街。僕は飲めないんですけど(笑)、その対比もまたすごく面白いです。
- Q4
- オススメの本を1冊お願いします。
- A4
- 島崎藤村『千曲川のスケッチ』。活動の場を東京に移す際に父から渡されました。中身もいいですが、あとがきにある、藤村が詩から小説に活動を移すうえでの苦悩、新しいものを生み出す意味の考察にグッと来ました。音楽だったら、おすすめのCDは僕のアルバムの『Signs of Rain』をぜひ。雨の日、窓際に座っている印象をアルバムにしたものです。
- Q5
- あなたが一番大切にしているものは何ですか。
- A5
- ......本質かな。物事の。あらゆるものの。そこをどこまで自分自身の目で見ることができるのか。そして、それを見通すために、いろいろな人に出会い、いろいろな話を聞くことが大切なんだと思っています。
神山健太(かみやま・けんた)
ミュージシャン
1991年東京生まれ。中学・高校は大阪で過ごす。中学2年から音楽活動を始め、ロック、ジャズなどの演奏活動を経て、18歳でアンビエントに出会い、その自由でルールのない面白さに惹かれ、独学で空間の音楽を手掛けるようになる。独特の解釈と音律は海外で高い評価を受け、2014年にイタリアのStochastic Resonanceからデビューアルバム『Signs of Rain』をリリース。2016年9月にセカンドアルバム『Side Effects』をリリースする。
2015年の国連防災会議ではサウンドデザイナーとして、「触れる地球」ブースの音空間を担当。
Vice等のメディア媒体に楽曲提供。
レーベルサイト Stochastic Resonance
Kenta Kamiyama