電力を地域住民の手で節約、産出、再生する活動がイギリスで広がっています。これらの活動は総称して「コミュニティエネルギー」と呼ばれています。
この盛り上がりを背景に、この夏、ロンドンからスコットランドまでイギリス全土をあげて、2週間のキャンペーン「The Community Energy Fortnight(コミュニティエネルギー・フォートナイト)」が初開催されます。
期間は2013年8月24日(土)~9月8日(日)。主催は2011年に結成された、産官学民協働で活動するコミュニティエネルギーの専門組合「Community Energy Coalition」です。期間中、組合のメンバーを始めとした各団体が、日頃の活動のショーケースとして、スペシャルイベントを開催します。
コミュニティエネルギーのお祭りとも言えるこのキャンペーン。より多くの人に活動を伝え、新しい参加者を歓迎しようと、ユニークなイベントが企画されているようです。ここでは3つ取り上げてみます。
「The Big Red Bus Tour of Green Homes」(2013年9月8日開催)は、赤い2階建てバスに乗って、イングランドの北西部グレーター・マンチェスターの「エコな家」を見学するツアーです。主催は「2050年の家造り」を目指して、同地域の住民で結成された民間団体「カーボンコープ(Carbon Co-op)」。昼食付き。
「Community Heat Workshop」(2013年8月31日開催)は、主催の「ナショナルトラスト(The National Trust)」が保護する森林地域で、バイオマス発電を導入したい地域のリーダーに向けて、エキスパートが作り方を伝授するワークショップ。ナショナルトラストは、イギリスの歴史的な建物や自然の保護を目的に1895年から活動する、環境活動の先駆け的な民間団体です。
「Energy Saving Workshop」(2013年9月3日開催)は、節電・節約術の勉強会。主催はCSRへの積極的な取り組みで知られる金融・食品・衣料品業などを行う企業「コーポラティブ・グループ(The Co-Operative)」です。投資額なしで 、最大で年間£155(約2万5000円)の節約ができるという方法、気になりますね。
その他にも、コミュニティエネルギーの資金調達について話し合うカンファレンスなど、上級者向けのイベントも予定されています。本記事で紹介したイベントは、すべて参加無料。期間中、特設サイトではイベント情報を常時募っており、次々と更新されています。
申し込み方法はイベント一覧の各ページより、主催団体にメールで直接問い合わせます。一覧をチェックするだけでも、様々な団体とその活動を知る機会になるでしょう。
コミュニティエネルギーは、住民が共に地域の環境問題に取り組むことでご近所さんとの繋がりを促進し、さらには新たな雇用機会の提供や都市再生の手段としての効果が期待されています。
キャンペーンを主催する「Community Energy Coalition」は、このイベントを通して集合したパワーを、政府からの活動援助に繋げていく計画です。地域住民の手で始まった活動が、この夏、大きなムーブメントになっていきそうです。
日本においても震災以降、電力の自給自足の動きが広まっていますが、次なるステップへのキーワードは「コミュニティエネルギー」かもしれませんね。