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【国際】「シェアリングエコノミー」がもたらす新たな未来

家、車……次にシェアするものは?

欧米で広がる「シェアリングエコノミー」の可能性

「シェアリングエコノミー(sharing economy)」という言葉を聞いたことがありますか。インターネットを使って、必要なものやスペースなどを一時的に借りたい人と貸したい人をつなげる仕組みで成り立つ経済のことです。日本語では「共有型経済」と訳されます。

近年、欧米を中心にシェアリングエコノミーのウェブビジネスが続々誕生し、広がりを見せています。例えば、家の空きスペースを貸し借りできる旅行者向けのマッチングサービスの「Couchsurfing」や「Airbnb」について聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

使っていない資源の活用を最大化するこの新たな仕組みは、節約・副収入という経済的な側面に加えて、物が溢れすぎている現代のライフスタイルの見直しや、コミュニティづくりという側面からも注目されています。

シェアリングエコノミーの海外事例を見ながら、よりサステナブルで豊かなライフスタイルをつくるヒントを探っていきましょう。

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シェアするのはモノだけではない?

あなたのガレージに眠るポテンシャル

サイト「Sidecar」

シェアリングエコノミーで貸し借りされるのは、家の空きスペースだけではありません。同様のモデルで、欧米では車や自転車、その他様々なものを対象とした実用化が始まっています。

ガレージに眠る自家用車を貸し借りできる「カーシェアリング」と呼ばれるウェブサービス大手の「Zipcar」は、今から10年以上前の2000年にアメリカで設立され、アメリカの主要都市で浸透しています。現在、カナダ、スペイン、イギリスでも展開されています。

同じ行き先の車に同乗する「リフトシェア(ライドシェア)」を可能にする「Lyft」や「Sidecar」なども登場しています。

欧米の大都市ではよりグリーンな乗り物として自転車の活用が注目されていますが、2011年には個人所有の自転車を貸し借りする「サイクルシェアリング」事業を行う「Spinlister」も、サンフランシスコとニューヨークでスタートしました。現在はアメリカの主要都市に広がり、旅行者や地元の人達に活用されています。

サイト「Spinlster」

メリットは「経済的」「サステナブル」「出会い」

シェアリングエコノミーが広がる背景にある、それがもたらすメリットを3つにまとめてみました。

1つ目は、個人にとっての経済的なメリットです。借り手は一時的な使用のためだけに無駄な購買をしなくても良く、貸し手(持ち主)は使っていない間に小銭を稼ぐことができます。シェアリングエコノミーはアメリカの不景気を背景に誕生したと言われていますが、この節約・副収入という経済的なメリットは、参加の大きなモチベーションになっているでしょう。

2つ目は、環境にやさしいことです。物をシェアすれば、それが生産・輸送・処分される過程にかかるエネルギーやCFP(カーボンフットプリント)を減らすことができます。交通手段としてリフトシェアリングやサイクルシェアリングを取り入れれば、CO2の排出量の削減が期待できます。街に溢れる自動車の数を減らせば、交通渋滞や駐車場不足といった問題が緩和されます。いずれ不要になった駐車場を緑地や公園にすることもできるでしょう。

3つ目は、人と人の出会いや交流を促進することです。旅行者向けの宿泊マッチングサービスの利用者はその魅力について語るとき、宿泊費の節約という点だけでなく、旅行先で現地の人と交流ができることを挙げます。サイクルシェアリングの「Spinlister」も、自転車の借り手と貸し手が地域情報を積極的に交換し、友達になったケースは珍しくないと報告しています。

地域コミュニティを活性化

サイト「StreetBank」

旅行者と現地の人の間のシェアだけでなく、地域特化型の事例もあります。例えばイギリス発の「StreetBank」は、ご近所さん同士がガーデニング用の芝刈り機、子ども用のおもちゃなどあらゆる物を、使わない期間に貸し借りするためのサービスです。

「StreetBank」では物、スペースだけでなく、スキルやサービスもシェアされています。例えば自宅のガーデニングに手を焼いている人と、地元の庭師やガーデニング専門の会社や組織をつなぎます。

物の貸し借りや助け合いを通して、日々のコミュニケーションや困ったときに助け合える、豊かなご近所付き合いが育まれます。「StreetBank」を使うことを通して、住民はグリーンでフレンドリーな地域コミュニティづくりの参加者になれるのです。

「シェア」をライフスタイルに取り入れる

以上のように、欧米で広がるシェアリングエコノミーは、私たちに新たな選択肢をもたらしています。それらは個人のライフスタイルから地域コミュニティに至るまで、じわじわと変化をもたらしています。

次はどんなものがシェアされるようになるのでしょうか。それはいずれ、どんな未来をもたらすことができるのでしょうか。この年末、あまり使っていなかったものを「もったいない」と思ったら、捨てたり売ったりする前に、それらを「シェアする」ことの可能性について考えてみませんか。


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