2013年度第3回地球大学Eating Design Committeeが、12月16日(月)に開催されました。ファシリテーターの竹村真一氏(京都造形芸術大学教授)、目澤秀俊氏(小児科医 医学博士)、ゲストに中村正明氏(株式会社グリーンデザイン 代表取締役、大丸有つながる食プロジェクト 事務局兼コーディネーター)、井上友美氏(三菱地所 商業施設業務部チーフ 食育丸の内事務局/丸の内シェフズクラブ担当)、他18名で行われました。
2回に渡り、参加企業様の商材や取り組みの紹介をしてきましたが、今回からは、ゲストの方のお話を元にディスカッションし、Eating Design Museumの具現化をしていくフェーズへ入っていきます。
はじめに竹村真一氏(京都造形芸術大学教授)より、今後の展望が話されました。
この度、Eating Design Museum準備室のオープンが決定しました。「触れる地球」をメインに社会課題に触れながら、いつ来ても今の地球がわかるような場所になります。他にもアクティブなワークショップなども開催予定で、ぜひご参加くださいということです。
つぎに、中村氏より「生産者と都心を繋げる取り組み、共同調達を行う取り組み」についてプレゼンテーションがありました。
大丸有つながる食プロジェクトは、食育丸の内の延長線上、より具体的に持続可能な形にしていく、アクションプログラムのようなイメージで活動されています。
「食と生産地による環境共生型の地域づくりをしたい」ということで、エリアのレストラン、社員食堂さんが共同で食材を調達できる仕組みを作られており、食の提供者と生産者と消費者とを結ぶ、「食を通じたコミュニティづくり」も取り組みのひとつです。
今後、共同調達面では、朝獲れたものをその日のディナーに間に合わせることを目指していき、コミュニティ部分ではレストランをベースに、生産地とのコラボレーションフェアを展開していく考えだそうです。
つづいて、井上氏より「食育丸の内」についてプレゼンテーションです。
生きた食育活動をしていくには、CSRといった視点だけではなく、本業に通じた活動として、企業にとっても社会にとっても価値あることを共有し育んでいくことが非常に大事ではないかと、実践されています。
丸の内シェフズクラブは、食育活動を推進するために服部幸應氏を会長とし、オーナーシェフを中心に26名で組織。このトップシェフたちによるフレンチ・イタリアン・和食・アジアとジャンルを越えた組織は大変珍しいそうです。そして何よりシェフの方々からも「更に進化した取り組みを行っていこう」と熱い言葉をいただくほど、活動は設立から約5年経過した今も盛んなようです。
「食育」という言葉は自分ごとになりにくいと考え、「食べること」を楽しんでもらうイベントを中心に開催しており、30~40代女性に共感を得られるようなテーマや作りで工夫しながら取り組まれています。
来年度は「健康」というアンチレストランのようなキーワードも「うま味」の大切さを伝えながら実現させていきたいと話されていました。
さいごに、およそ1時間に及ぶディスカッションでは、さまざまな気づきの共有がされました。
・ 食べ手のリテラシーが高まることも大事ですが、提供者のリテラシーも重要。
・ キッチンだとか実験場、実際にお越しいただいてやれる場が丸の内には無い。アリーナが丸の内にも必要だと感じた。
・ 繋がりながら実験ができて、食のリテラシーが上がっていくものが、丸の内にもできていいのでは。
・ 店舗でもマルシェをしていけるのではないか。
・ 食べる場を用意してほしいという話をよくいただき、取り組んでいます。一緒に食事をすることを、丸の内ならもっとダイナミックにできるのでは。
・ 美味しいものは食べたいが、カロリーの摂り過ぎは困るという人間にとっては、選択肢が狭い世の中になっているように感じる。ヘルシーセットのようなレディースセットが、実は中高年の男性にニーズがある。
・ 年1000回ほど食事をするわけですが、レストランで食事をするというのは、特別な場に感じる。家での食事の延長線のような、居心地の良いレストランが都会にあったらと思う。
・ 繋がるべきものが繋がり切っていないと感じる。最初の二歩三歩は踏み出していただいているので、来年度からコーディネートしていければ。
2014年からは、より活発な活動が予定されています。
科学研究の最前線を交えながら、地球環境のさまざまな問題や解決策についてトータルに学び、21世紀の新たな地球観を提示するシンポジウムです。「食」を中心としたテーマで新たな社会デザインを目指します。