ワーキンググループCSRイノベーションワーキング・レポート

【CSRWG】「エコのまど」制作ワークショップ

2015年1月8日(木)開催

実践キャッチコピーのつくり方

1月8日、昨年に引き続き、CSRイノベーションWGの一環として、「エコのまど」制作ワークショップが3×3Laboで開かれました。

「エコのまど」は、大丸有の各社が取り組むCSR活動を、分かりやすい形でまとめ、さまざまな人々に伝えるためのもの。以前は活動を取りまとめた冊子を発行していましたが、より分かりやすく、親しみやすく伝えるために、2013年度から"パネル"の形にまとめたものを、各社担当者自身が制作し、3×3Laboで展示発表しています。

参加者は12名。講師は昨年度のワークショップに引き続き、情報連携推進機構の篠崎隆一氏です。昨年度はコピーライトの歴史や世界で初めて書かれたコピーライトのことなどの話からスタートしましたが、各社担当も慣れてきているので、今回はより実践的な内容から始まりました。参加者には、昨年度同様、実際にキャッチコピーを考えてもらい、パネル製作という次のステップに結びつけてもらいます。

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キャッチコピーの役割はCSRの認知目的に限らない

講師を務めた情報連携推進機構の篠崎隆一氏

今回の講座で考えるキャッチコピーは、参加各社におけるCSR活動をアピールするためのものです。

しかし、キャッチコピーを活用できる世界はもっと幅広いもの。多くのメディアにおいて、顧客獲得を目的としたり、ユーザーを引きつけるためにキャッチコピーにを活用しています。講師の篠崎氏は、そのキャッチコピーの力全体を参加者に理解してもらうところからキャッチコピーの製作に引き込んでいきます。さまざまな広告のキャッチコピーを紹介しながら、その力がどのように発揮されているかを説明しました。

さて、そもそもキャッチコピーの役割とは何でしょう。篠崎氏の言葉を要約すると、次のようになります。「キャッチコピーは、それを読んだ人の記憶に残り、行動を起こさせるものです」

社内におけるCSR活動は、直接的な営利活動ではなく、そのため、正しい評価が行われないことがよくあります。しかし、多くの場合、CSR活動は企業と地域の架け橋になり、地域住民の理解を得られれば、会社の存在を好意的に受け止めてもらえることにつながります。そうした活動を正しく理解してもらうためには、企業が取り組んでいる社会活動や環境活動の中身をきちんと、わかりやすく伝える努力が必要になるわけです。

CSR活動の主旨や実際の活動の様子を紹介するパネルづくりはその1つであり、わかりやすく伝えるために必要なのが、見る人や聞く人の心をつかむキャッチコピーということ。 「CSRは、生業としての企業活動として認識されていないところがありましたが、徐々に好意的に捉えられるようになっています。こうした認知が広がると、会社の事業活動もやりやすくなるはずです。つまり、CSR活動を適切な形で紹介することは、会社の生業と相乗的な効果を生み出すことにつながるわけです」

もう1つ、キャッチコピーを考えることで、いろいろなことを整理することができるということを大切な1面として篠崎氏は強調しています。製品やサービスの内容、CSRの活動内容などが頭の中にきちんと整理されて把握されていなければ、キャッチコピーをつくることはできないわけです。

参加者の課題や悩みに応える実践指導

篠崎氏は、テーブルごとに参加者をA、B、C班の3つのグループに分けました。最初に行ったのは、参加者それぞれに記憶に残るキャッチコピーを思い出してもらい、自分がどのようにそのコピーを記憶していたか、その背景までも含めてテーブルでシェアしてもらうというものです。最初は戸惑いながら進めていた参加者でしたが、「きちんと覚えていなくてもいいですよ」という篠崎氏の助言で気が楽になったのか、次第に鉛筆の動きは滑らかになり、記憶に残るキャッチコピーが書き出されていきます。

次は、4人ずつに分かれた3つのグループ内で、それぞれが思い出したキャッチコピーの中で特に印象に残るものを選ぶ作業を行いました。選び出したキャッチコピーは、それぞれのグループの代表コピーとして参加者全体に向けて発表されます。

A班は懐かしのコピー「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」を選び、「韻を踏んでいて覚えやすい」などの選んだ理由とともに発表しました。歴史のあるコピーで老若男女を問わず耳に残っているせいか、参加者は皆、うなずきながら聞いていました。続いてB班からは発表されたのは、ルミネのキャッチコピー「わたしらしくをあたらしく」(ほかに候補コピーを3つ紹介)。このコピーは今も、ルミネのロゴとともに目にします。そしてC班からは、かつての人気TVドラマ「大和撫子」の主役である神野桜子の男選びの基準として一世を風靡した「愛は年収」――発表者がこのコピーに触れたのは18歳のときだったそうで、「えっそうなの!?」と驚きをもって記憶したとのことです。

いずれも発表されると誰もが耳にしたり見たりしたことのあるコピーです。発表を聞く参加者もうなずきながら納得顔でした。こうして記憶に残るコピーというのは、消費者の心を強くつかんでいる証拠になると篠崎氏は言います。では、心をつかむには、どのようなキャッチコピーがいいのだろう。これが、次の課題です。

篠崎氏の講習は、キャッチコピーづくりのポイント解説に移っていきます。
大切なのは、効果的な日本語の表現法。参加者が発表した有名コピーをもとに、そこで使われている文書表現の方法がどのような効果を生んでいるかを示し、それ以外にも覚えておくとよい表現法、例えば、韻をふんだり、体言止めで文章をキレイに表現する方法など含めて、複数の日本語表現法のポイントが紹介されました。記憶に残るコピー探しで、じっくり思考を巡らした参加者の脳活動は、すっかりコピーづくりの世界に。じっと篠崎氏の説明に耳を傾けながら、スクリーンに映し出される日本語表現法をまとめた画面に見入っていました。その視線は真剣で、単なる勉強会とは趣を異にしています。参加者各自が課題をもち、新たなコピーを生み出すことに真摯に取り組んでいることが伝わってきました。

篠崎氏のキャッチコピーの基本についての説明を終えるとすぐ、パネル製作に向けての実践的な展開になっていきます。テーマや素材をもって参加した人は、自身のもつテーマに向けてさっそくパネルづくりに取り組みます。具体的な素材を持っていない参加者は、前年につくられたパネルを素材として新たなパネルづくりのイメージづくりから取り組みます。先ほどまで篠崎氏の説明にじっと耳を傾けていた参加者ですが、ここからは積極的な意見交換が行われ、がぜん活気を帯びてきます。その熱気に満ちたテーブルの間を篠崎氏は回り、参加者の悩みや疑問の声に具体的に、実践的に応じていきます。

ある外資系企業の参加者は、「一応、2案つくってみたのですが、本社の意向が定まらないので、どうしたものかと思っているところです」と相談。たくさんのテーマで埋まったリスト持参で参加している人もいました。参加者の思いはさまざま。そうした参加者の声に1つ1つ耳を傾け篠崎氏は、キャッチコピーの作成技術の習得に向けた助言を具体的に、理論的に、例示的に行っていきます。
教える側も教えられる側も、課題解決に向けて一歩でも前に進みたいという意欲に満ちた講習風景です。

期待の高まる2015年版パネル製作

キャッチコピーだけではパネル製作はできません。「絵や音との連動が大切」と篠崎氏は指摘していました。今回つくる予定のパネルでは、キャッチコピーのほかに写真とメインコピーが必要です。このことについてはすでに、年末に送られた今回のワークショップの案内の中で参加者には伝えられています。

今回のワークショップのあと参加者は、会社に戻り、さらにパネルづくりに検討を加え、キャッチコピーに写真とメインコピーを用意し、データをそろえて提出することになっています。用意される情報は、ワークショップの場で考えた内容にこだわる必要はなく、実際にどのようなパネルが出来上がるかは、提出される情報を見るまでは誰もわかりません。

各社から提出されたパネルづくりの情報は印刷用に組み上げられ、2度の校正を経て、2月末までにはパネルに仕上げられ、3月には、3×3Laboの壁面に展示され、発表会が催される予定になっています。

CSRイノベーションワーキング

未来を想像し、次の時代のCSRを実施し、体感する

エコッツェリア会員企業を中心に、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)について学びあいます。さらには、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)をめざし、学びから実践に向けたアクションづくりを行います。

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